我が国の岸田首相が電撃的にウクライナを訪問し、ジェレンスキー大統領と初顔合わせをしたらしい。首都キーフが紛争地だということで、警護問題など鑑みて随分と訪問日程などに腐心したことは容易に窺える。折から、インド訪問でモディ首相と会談しその直後にプライベートジェットでポーランド入りし、そこからキーフまで列車で(ウクライナ全土は飛行禁止区域設定されている)移動したということのようだ。
 G7は今年日本が議長国となっており、五月には広島でそれが開催されることもあり、ウクライナ訪問の時期が取り沙汰されていたものの、訪問すること自体がリークされることで、安全上の保証が担保されない、メディア統制の出来ない中で、与党幹部でもその瞬間まで不明であったほど隠密行動であった。最後の訪問者となったが、国内世論を気にしながらも必ずしも身の安全の保証されないウクライナまで飛び、残虐非道なグチャの様子も見聞したことは良かったのではなかろうかと思う。
 日本はいかなる紛争や戦争においての支援では非人道的な武器を供することは出来ないことから、ウクライナへの後方支援として装備品など凡そ40億円の物資を約したようである。戦域がなし崩し的に拡大する中で果たして武器等の輸出ができないことで、どうしても国際的な発言力が弱くなる、いつもでも、先の大戦での唯一の被爆国というのをお題目にそこを避けて通そうとすることにも限界が見えそうな気がする。
 人的被害の拡大で漸くにして「停戦・休戦」が議題に上がろうとしているが、そこは時期尚早かもしれない。仲介する行司が居ないも同然、まさか、現在地で武装解除なんてことはとてもウクライナは呑めない。ロシアも上げた拳の落としどころとしてプーチン大統領も頷くことはあり得ない。評論家の中にはこの戦争は二年、三年、数年は続くのではないか?と恐ろしいほどの深淵を語っている。ここに至っては「原状復帰」しか解決の道はなさそうに思える。それならば、犠牲になった兵士国民らは一体何だったんだろうか?まさしく犬死ということになる。その責任は誰がとるのか?